毎日下痢!

毎日下痢したくねぇ〜

日記:その㉙

ドラゴンボール超 スーパーヒーローおもしれ〜〜〜!!面接落ちた!

サンブレイクおもしれ〜〜!!雌火竜の翼膜落ちね〜〜!!天鱗と面接は落ちた!!

 

えっ!?8月中盤!?!?!?

本当に恐ろしいことに面接に落ちてドラゴンボール超スーパーヒーローを10回観てモンハンやってフィルムレッド観てたら盆の暮れだし所持金が底を尽きていた。アホすぎ。所持金が1500円以上ある状態で映画館に入ると絶対にドラゴンボール超スーパーヒーローを観てしまうバグのせいで6~7月公開の新作映画ほとんど観られてないし、ドラゴンボールについて考えはじめたせいで私の運命の男の1人であるラディッツの人生に思いを馳せることが止められず、ここ2ヶ月は映画どころか全く読書/勉強もできていない惨状であった。お前今年も一応卒論書いて出すこと忘れてないか!?!?

 

とにかくこのままドラゴンボールとワンピースとモンハンに脳のリソースの90%を奪われ続けるのはまずい。せめて80%程度に抑えたい。流石に8月ともなるとドラゴンボール超スーパーヒーローの上映会数も減ってきて多少は心に落ち着きが生まれたので、サブスクで観られるワイティティ作品をちょいちょい観たり(『ボーイ』が一番刺さった)、積ん読を全て無視して新しく買った本をちょっと読んだりした。それでもまだ文化レベルが足りない気がする……小5から中2ぐらいの変化しかない……

 

よし!ミニシアターで映画を観るぞ!

ミニシアターではドラゴンボール超スーパーヒーローを上映していないので、他の映画を観るつもりがうっかりドラゴンボール超スーパーヒーローを観てしまうようなトラブルも起こりえない。完璧な作戦だ。親には「ハロワ行く」と伝えてあるので交通費貰えたし……

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というわけで渋谷に行き、宮益坂をオロオロ歩き、周囲で入れそうな店がベローチェしかなく、ベローチェでピーナッツバターサンドを食べた後で映画を観たよ。観てきたのはこちら、バーバラ・ローデン監督/脚本/主演の『WANDA』(1970)だ。タイトルのワンダ、というのはこの映画の主人公の女性の名前でもある。

あらすじをざっくり説明すると、夫と離婚し、仕事をクビになり、映画館で寝落ちしてるうちに財布をスられて一文無しになったワンダが、ビールを飲ませてもらうために訪れたバーでうっかり強盗の男と出くわし、その流れで共犯者として逃避行に付き合うことになる、というもの。この時代で男女の逃避行と言われるとなんとなく「ボニーとクライド」的なものが思い浮かぶかもしれないが、この映画にはそういうロマンチックさはほぼない。まあそんな映画だったらわざわざこの時代に甦らせないよな。

私はなんとなく「フライヤーの色彩がいい感じだな〜、古めの映像も観てて落ち着くしストーリーが好みじゃなくても別にいいか」ぐらいのノリで観始めたのだが、

こいつは俺だ!!!!!!!!!!!

観終わった頃にはこの感情に支配されていた。(この「こいつは俺だ」は『ゴールデンカムイ』の杉本佐一が手負いの鹿に対して言っていたやつに近いニュアンスだと思ってください)

あらすじで説明した通り、ワンダは冒頭で夫と離婚し、仕事もクビになる。ここまでだとフィクションでもそれなりに見る踏んだり蹴ったり感があるが、裁判所のシーンでワンダは家事も育児も全然うまくできておらず、それが原因の離婚であることが明らかになる。(しかもワンダはこの裁判に遅刻してきている)2人の子供の親権は夫のものになるが、ワンダはそれに反対しない。仕事をクビになったのも、「作業スピードが遅い」からだった。そして裁判所に向かうバス代も人から借りるレベルに所持金が足りていないのにも関わらず映画館に入り、そこで寝落ちして全財産をスられて無一文になる。ワンダは明らかな適性のなさとちょっとの不合理な行動によって、ドン詰まりの状況に追い込まれていくのだ。

私だってそうなるかもしれなかった!ワンダは結婚生活にも、育児にも、労働にも、ましてや犯罪行為にも適性がない。ハンバーガーを買ってくるお使いでは言われたことを何度も確認しても結局ミスするし、靴を履こうとするシーンもまず左右逆に履いてから履き直している(ここは見間違いの可能性があるかも。実は映画を観てから1週間ぐらい経っているので記憶が曖昧だ)。ワンダは日常の些細な行動でもとにかく躓きまくっている。私も同じで、不注意と記憶力の低さで自分の面倒も見られていない状態だ。今はたまたま、本当にたまたま2020年代を生きていて、大学教育を受けさせてくれる両親がいて、ある程度の授業を取ることで恋愛結婚出産は絶対の価値観ではないとか、そもそも自分ヘテロじゃないわということに辛うじて気が付けているわけだが、仮にこれで1970年代を生きていたとしたら、間違いなく辿っていたのはワンダと同じルートだ。なんか周りもやってるしそれ以外の選択肢がないからとりあえず男と結婚して出産して低賃金の仕事に就くけど、全部が上手くいかない。更に不注意で失敗する。そんでドン詰まってとりあえず流れに身を任せて更にろくでもないことになる。一応クライマックスと呼べるはずの銀行強盗に向かう途中で相方の車とはぐれて迷い、よりによって警官に銀行への道を聞くシーンで胸がいっぱいになってしまった。こいつは俺だ。70年代のアメリカに生きたかもしれない俺だ。

https://cinemore.jp/jp/erudition/2557/article_2558_p2.html

こちらの記事によると、『WANDA』という作品の下敷きには、アルマ・マローンという実在の女性の存在があったらしい。彼女はバーバラ・ローデンと同い歳で、銀行強盗に共謀した罪で懲役20年を言い渡されたとき、裁判官にお礼を言ったそうだ。恐らくそれを知った時にバーバラ・ローデンの中にも強烈な「こいつは俺だ」が生まれて、それがワンダという主人公の誕生に繋がって、そして今、約50年後の日本で留年中の大学生もその感情をワンダに感じている。

本作のラストは、結局強盗の男と一緒にはいられなくなり、本当に行き場をなくしていたところで真っ赤な服を着た女(『WANDA』の色調は淡いブルーで統一されているが、金のないワンダがショッピングモールで見つめる服には暖色が使われている)に声をかけられて入った酒場で、1人だけクソつまんなそうにしているワンダの顔のアップで終わる。失敗に失敗を重ねて特に感動とか状況の好転とかありません、なエンディングだが、私はまあまあポジティブな印象を受けた。赤い服の女がいる酒場に向かう前、ワンダはビールを奢ってもらった男と流れでセックスさせられそうになったところを拒絶し、逃走する。流されて男のいいなりになってセックスして付いていってもろくなことにならないと分かったのだ。エンディングの先のワンダは、女と自分の意思でセックスするようになるかもしれないし、暖色の服を着るようになるかもしれない。私はなんとなく、ラストの展開に人生の行き詰まりから再起しようとするバーバラ・ローデンを感じたのだった。

 

でもバーバラ・ローデンこれが遺作なんだった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!最悪〜〜〜〜〜〜〜〜!!!死ぬな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!(ムチャ言うな)

バーバラ・ローデン、この映画撮って10年後に死んじゃうんだよな…………………この時代に選択肢が限られた状態で生きるこのドン詰まり感を表現できるのすごいよ……は?死ぬな……もっと女の映画を撮れ……

これもさっきリンク貼った記事(が参照してる伝記)の話なんだけど、バーバラ・ローデンの最後の言葉は「クソ!クソ!クソ!(Shit! Shit! Shit!)」だったらしいです。クソ悔しかっただろうな〜…………ワンダの生き様に「こいつは俺だ」を感じた者として、バーバラ・ローデンに恥じない生き方がしてえよなぁ、になりました。ハナクソほじってモンハンやってる場合じゃないぞ。

蚊に乳輪を刺されたので寝ます。

おやすみなさい。